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架空人物で安否確認を実体験 | 災害の芽を摘む – saigai.me

安否確認

 安否確認は、必要なときにしか実施しないので、一生涯で一度も本番を迎える事がないかもしれません。

 しかしながら、大災害等に遭遇してしまった場合は、安否を確認したくて仕方がないという状況になるかもしれません。

 発災後に安否確認手段を確立することは容易ではありません。

 そこで備蓄されるのが、安否確認システムです。




安否確認システム

 システムと呼称するだけあって、ITシステムが一般的です。

 若干アナログが混じるのは災害伝言ダイヤル(171)です。音声で安否を伝えられます。

 企業等が採用する安否確認システムは、何百人もの従業員を一斉に確認しなければならないので、一件ずつ録音を聴いている暇がありません。

 ネット上に安否を登録すると、管理者である総務課や災害対策本部で集計されるというのが一般的なシステムです。




大手も参入

 安否確認システムには大手企業の参入も目立ちます。

 NTTさんやNECさんなどの昔からある情報通信系に強い企業、ALSOKさんやSECOMさんなどの警備会社の物もよく見かけます。

 その他、IT企業がシステム開発して販売しているケースが散見されます。

 BCPコンサルタントが開発した商品は稀です。安否確認システムの中心は『確認システム』側にあり『安否確認』が必要となうる非常事態を専門とする企業が開発している訳では無さそうです。

 そのような中で、AmpiTa Projectさんは災害関連の研究を長く続けており、災害視点でつくった安否確認システムが10年目を迎えるのを機に、新しいシステムを開発しました。




GOA的な安否確認

 AmpiTa Projectさんの多用途安否確認システム『AmpiTa』(アンピタ)は、他の製品群に比べて画面構成などはチープです。
 冗長性、見読性、保存性、真正性に重きを置いており、高度は目指して居らず中等~手レベルの間に位置したとしても、目標(goal)は逃さない考えです。

 GOA(goal-oriented action)は目標志向行動などと訳されますが、チームで共通の目標に向かい、そのプロセスは多少のルール逸脱があっても許容して、目標達成を目指すという考え方です。

 法律違反をして良いということではなく、何を優先すべきか、何を犠牲にできるのかを考えた上での行動がGOAです。
 とある夢の国では、大地震が発生した際に土産用のぬいぐるみを客に投げ渡したそうです。大切な商品を、客に投げる行動を平時にしたら怒られそうですが、頭巾代わりにと機転を利かせた従業員の行動です。

 システムの専門家に指摘されがちなセキュリティですが、発災時にセキュリティを破られることを回避するよりも、最小の通信量で安否報告できる方が重要だと考える事は、GOAで言えば『あり』な考えです。IT業界では『なし』と言われるかもしれません。




GOA的なシステムの実体験

 このGOAの考えに基づいて開発されたAmpiTaは、無料で使用体験ができますので、試してみました。

 準備から試用までの一連の流れは、動画でもまとめられていますので参考にされてはいかがでしょうか。


手順1.ダウンロード

 AmpiTaの試用版(無償版)はVectorのホームページからダウンロードできます。

【参考】Vector(SE516524)


手順2.ローカルに展開・起動

 ダウンロードした圧縮ファイル(AmpiTa_Package.zip)を解凍すると下図のようなファイル群が展開されます。

 この中にEXEファイル(種類:アプリケーション)があるので、それをダブルクリックするとAmpiTaが起動します。


手順3.基本設定

 起動したメイン画面の左上にあるドロップダウンメニューから基本設定を選択して実行します。

 開いた基本設定画面でメールアカウントの設定をし、保存します。


手順3.試験送信

 先程の基本設定画面の左上にあるドロップダウンメニューから試験送信を選択して実行します。


 試験送信画面の上の方にあるダミーデータ送信ボタンを押すと、ファイル選択ダイアログが現れるので、架空人物の名簿ファイルを選択します。

 AmpiTaには標準で100人分の架空人物名簿が用意されているので、それを活用します。
 AmpiTaの公式ページでもダウンロードできるようになっています。

【参考】AmpiTa公式:シミュレーション機能


 ファイル選択後は自動的に安否情報が送信されます。

 送信の進捗は画面上にも表示されます。

 メール設定が誤っている場合や、名簿の書式が合わない場合などはエラーが表示されます。


手順4.メイン画面に戻って実感

 メイン画面に戻り、右上の方にある更新ボタンを押すと、安否情報を受信できます。




所感

 架空人物100人の送受信については5分ほどで終わりました。

 通信状態が良いので軽さの実感まではいきませんでしたが、安否情報の送受信はテキストデータのみなので軽量であることはわかりました。

 Excelやウェブサイト(HTML)などの出力機能もあるので、足らずの集計機能は外部から補えるかなと思いました。