能登北部医療圏 177人
能登中部医療圏 284人
石川中央医療圏 1,457人
南加賀医療圏 398人
私たちの調べによると、石川県の透析患者の分布は概ね上記のようになっています。
日本透析医学会の統計では、石川県には透析施設が42、患者数は2,768人という数字が2021年12月31日末の数字です。
能登北部医療圏とは輪島市、珠洲市、穴水町、能登町なので、エリア内の透析施設は全滅、どこも受入不可との情報があり、177人が他地域へ流れる想定です。
能登中部医療圏には七尾市、羽咋市、志賀町、宝達志水町、中能登町があり、いずれも被害が大きかった地域なので、患者を南側へ移動させる必要がありそうです。
石川中央医療圏は金沢市、かほく市、白山市、野々市市、内灘町と人口が多く大学病院もある金沢市を含む一方で、面積は非常に広く1,432平方キロもあります。
南加賀医療圏は小松市、加賀市、能美市、川北町で、ほぼすべてが日本海に面しており、津波リスクのあるエリアです。透析患者数が少ないがゆえに、24時間フル稼働させても能登エリア全員は受け入れられません。
能登2市5町500人の透析患者
令和6年能登半島地震で被災した能登エリアには500人ほどの透析患者が居ると想定されています。
この患者が金沢市まで移動するにも障壁がたくさんあります。
まず、患者だけでもマイクロバスなら20台は必要になる、観光バスでも10台以上になる可能性があります。
人口密度が低いエリアであり、公共交通機関は動いていない、道路も陥没などで寸断されている中で、集合して移動するのも大変です。
それを取りまとめる医療従事者が、出勤できない状況にあり、そもそも誰が、どうやって情報をまとめるかもわかりません。
医療従事者の席
バスで移動するとして、そこには医療従事者も乗る事になると思われるので、その座席も必要です。
極端に言えば、患者だけ送ってしまえば透析はできてしまいますが、より良いケアを考えると、医療従事者も帯同することになると思います。
家族の席
私たちのノウハウとして『家族も一緒に』があります。
日本国内なので、また会えるとは思いますが、わずかな時間でも離れるのは不安です。
バスの座席に十分な余裕があれば、家族も同乗して避難、という選択ができます。
とりあえず1,000人分
理想的には、透析患者500人に対して、1,000人分の座席が用意できれば、バス移動もスムースだと思います。
満席にならなくても出発できることで、受入側の段取りも組みやすくなります。
余った席には家族や関係者に座って貰い、遠隔地へ一緒に避難してもらうことができます。
臨床工学技士が大型バス運転
透析室には医師、看護師、臨床工学技士、事務員の4職種が居ることが一般的だと思います。
人数としては臨床工学技士が最も多いかもしれません。
この技士が全員、大型自動車運転免許を持っていれば、バスというハードだけ手配できた時点で移動を開始できます。
移動中に急変する患者が居て、何らかの処置を行うにしても、医療従事者が運転手であれば、少なくとも1人の医療従事者がすぐに駆け付けることになります。
筆者は臨床工学技士であり、大型自動車免許を持っています。免許取得は自費でしたが、過去に透析施設の技士長を務めた際には、一応のお守り的な役割を果たしました。
実践的支援・救援に期待
筆者は災害コンサルタントとして、災害対策について毎日向き合うことが仕事です。
臨床から離れて久しいことは否定できませんが、臨床が最優先の医療従事者に比べて、災害のことを考える時間が長いので、違った視点を持つことができると思います。
しかも臨床を経験、透析については技士長(マネジャー)も務めていたので、それなりの経験はあります。
私たちは『goal-oriented action』という目標志向で行動する災害対策を推進しています。
形として『支援した』という満足ではなく、相手方に何らかの影響を与える、困りごとが少しでも解決できる実効性を求めています。
今回の地震、発災が昨日16時、現在はそれから10時間が経とうとしています。
1月2日の朝、透析患者が安心する情報が流れている事を期待しています。