帰宅困難者
『帰宅困難者』とは、会社や学校などの出先から家へ帰れない人々の内、交通手段や宿泊先を手に入れる事ができず身動きが取れなくなっている人々のことです。
目次
├帰宅困難者
├小雪とは?
├都会の弱い雪は危険
├転びにくい靴
├出勤・登校を控える
├都会の交通混乱
├5割運行ならば….
├電車のブレーキが効かない
├2022年1月にも積雪
├首相官邸より
├帰宅難民
├タクシーは来ない
├ホテル
├公共施設は期待薄
├帰宅難民シェルターマッチング
小雪とは?
『数時間降り続いても、降水量として1mmに達しない雪』です。積もらない雪です。
実際のところ、小雪では交通混乱などに至る事はなく『寒いなぁ』『雪だなぁ』という程度だと思います。バケツの水は氷るかもしれませんが、道路の水たまりなど動きがある水は氷りにくいと思います。
農業をなさっている方々にとっては大きな問題になるかもしれません。
暴風雪 | 暴風に雪を伴うもの。 |
豪雪 | 著しい災害が発生した顕著な大雪現象。 |
大雪 | 大雪注意報基準以上の雪。季節予報および天候情報においては、数日以上にわたる降雪により、社会的に大きな影響をもたらすおそれのある雪。 |
強い雪 | 降雪量がおよそ3cm/h以上の雪。 |
弱い雪 | 降雪量がおよそ1cm/hに達しない雪。 |
小雪 | 数時間降り続いても、降水量として1mmに達しない雪。 |
都会の弱い雪は危険
気象用語の『弱い雪』は1cm/hrに達しない程度という事になっていますが、1時間に5mmの雪でも4時間で20mmの積雪になる可能性があります。
数センチの積雪は、都会の人の転倒事故を惹起します。
昼間は雪が積もった感じであっても、夕方から夜にかけては凍結してしまい、路面はツルツルになってしまいます。
札幌の街ではハイヒールを履いていても雪だらけの歩道を上手に歩く人が居ますが、滅多に雪が降らない地域ではそのようなテクニックが身についていないので、老若男女を問わず、転んでしまいます。
転びにくい靴
転倒防止、まずは両手が塞がらないようにカバンは背負い、手袋を装着して両手を開けておきます。転倒しても手が先に出ますし、転ばぬようにバランスも取りやすいです。
足元の靴は重要です。サラリーマン御用達の革靴は、靴底が固く、溝は少なく、よく滑ります。雨に濡れた落ち葉でも滑るくらいですので、雪には全くの無力だと考えても差し支えないのではないかと実感します。
筆者はある年から、スーツ姿でも安全靴を履くようになりました。下図は近くの海の堤防で魚釣りをしているときの足元ですが、このときも安全靴です。シモンという救急隊御用達の安全靴は滑りません。ヌルヌルの堤防でも、油ぎった焼肉屋さんの床でも滑りません。
雪道でも、滑らなさは実感できます。作業用の靴なので、長時間履いていても疲れないですし、屈曲にも対応しているので、色々な姿勢をしても靴が馴染み、靴擦れは起こしたことがありません。
スニーカーとの大きな差は革靴であるという点です。意匠的には革靴としてスーツにも合いますし、雨や雪の中を歩いても簡単には浸みてきません。
安全靴が絶対とは言いませんが、雪の予報が出ているときは足元から対応するべきだと思います。
シモン 安全靴 23.5cm~30cm
耐滑性やクッション性に優れた安全靴です。硬そうに見えますが、屈曲性が良く、しゃんがんでの作業でも足が痛くなることもなく、脱げてしまうこともありません。安全靴なのでつま先は堅牢に守られていますし、クギを踏み抜くような心配も少ないです。滑らない靴底は雨や雪の日にも重宝します。いずれのシリーズも、スーツ姿で履いてもあまり違和感はないと思います。私はスーツでもいつもシモンの安全靴で仕事に行きます。 |
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出勤・登校を控える
気象情報で降雪と積雪が予報されている場合、そもそも出かけないという選択肢を採れないか模索するべきです。
2020年以降はテレワークやリモート授業も普及しましたので無理に出掛ける必要性は低くなりました。
都会の交通混乱
2016年1月18日に降った大雪では、首都圏の鉄道ダイヤに大きな乱れが生じました。
JR東日本
- 平常運行:山手線、東海道線、総武快速横須賀線、常磐線(快速線・緩行線)、京葉線、南武線
- 運行本数5割以上:京浜東北根岸線、中央快速線、中央総武各駅停車、埼京線、宇都宮線、高崎線、武蔵野線、横浜線、五日市線、川越線(大宮~川越)、相模線
- 運行本数5割未満:青梅線、八高線、川越線(川越~高麗川)
東武鉄道
- 東上本線・越生線:運行本数4割程度
- 伊勢崎線・野田線・鬼怒川線:運行本数7割程度
西武鉄道
- 運行本数7割程度(影響人員3,500人)
京成電鉄
- 運行本数9割程度
京王電鉄
- 京王線:運行本数3割程度、初電~8:30まで45km/hr
- 井の頭線:運行本数6割程度
小田急電鉄
- 特急ロマンスカーのみ運休
東京急行
- 東横線:運行本数8割程度
- 目黒線:運行本数10割程度
- 田園都市線:運行本数6割程度
- 大井町線:運行本数6割程度
- 池上線:運行本数4割程度
- 東急多摩川線:運行本数4割程度
- 世田谷線:運行本数10割程度
- こどもの国線:運行本数5割程度
京浜急行電鉄
- 運行本数7~8割程度
東京地下鉄
8時台
- 銀座線・丸ノ内線・東西線:通常どおり
- 日比谷線:中目黒方面が6割程度、北千住方面は5割程度
- 千代田線:代々木上原方面が通常どおり、綾瀬方面は8割程度
- 有楽町線:新木場方面が7割程度、和光市方面は通常どおり
- 副都心線:渋谷方面が3割程度、和光市方面は6割程度
- 半蔵門線:押上方面が3割程度、渋谷方面は6割程度
- 南北線:9割程度
9時台
- 銀座線:渋谷方面が通常どおり、浅草方面は8割程度
(他社からの振替受託による多客の影響) - 丸ノ内線:荻窪方面が9割程度、池袋方面は通常どおり
(他社からの振替受託による多客の影響) - 東西線:西船橋方面が8割程度、中野方面は通常どおり
- 日比谷線:中目黒方面が4割程度、北千住方面は8割程度
- 千代田線:代々木上原方面が通常どおり、綾瀬方面は9割程度、
- 有楽町線:新木場方面が9割程度、和光市方面は8割程度
- 副都心線:渋谷方面が6割程度、和光市方面は4割程度
- 半蔵門線:押上方面が3割程度、渋谷方面は4割程度
- 南北線:赤羽岩淵方面が6割程度、目黒方面は通常どおり
東京都交通局
- 浅草線:81%
- 三田線:79%
- 新宿線:77%
- 大江戸線:100%
- 日暮里・舎人ライナー:89%
- 荒川線:87%
相模鉄道
- 全線運転見合わせ
【参考】国土交通省:首都圏における降雪時の鉄道旅客輸送に関する連絡会議(2016年1月22日)
5割運行ならば….
JR京浜東北線のピーク時間帯である7時台は17本が運行、最短2分、最大5分で次の電車が来ます。
これが5割の運行になっても5~10分毎に電車は来るということになりますので、乗客が少なければ、半分の間引き運行でもさほど影響が無いようにも思えます。
病院や消防署勤務など、どうしても通勤しなければならないという人も居ると思いますので、全線運休は避けて欲しいところですので、間引き運行でも混乱が少ないよう、利用客減には期待が高まります。
乗客数が鍵を握りますので、荒天によるリモートワークを実施した企業には、何か褒めてあげる仕組みがあると良いと思います。
電車のブレーキが効かない
雪で恐ろしいのが『滑る』ことです。
2014年には東急東横線で雪の日に事故がありました。
それを受けて東急では、2cm/hr以上の降雪がある場合などには速度規制を実施、ブレーキ力に余裕がないと判断されれば運転を中止すると発表しています。
写真を見る限り、死者が出なかった事が不幸中の幸いですが、乗客72名が負傷しています。
雪の日には、出掛けなくて済むのであれば、自宅待機が良い選択かと思います。
【参考】日本経済新聞:後続電車が追突し脱線 東横線、乗客19人けが 一部区間で運転見合わせ(2014年2月15日)
【参考】東急:東横線元住吉駅構内における列車衝突事故を受けた、降雪期の安全輸送確保の取り組みについて(2014年12月16日)
【参考】運輸安全委員会:2014年02月15日発生, 東横線 元住吉駅構内, 東京急行電鉄株式会社(2015年5月28日)
2022年1月にも積雪
2022年1月にも東京都心部で降雪・積雪があり、交通にも影響が発生しました。
車の立ち往生が都内でも頻発したニュースが流れていましたが、鉄道にはそれほど大きな影響は無かったようです。
恐竜橋とも呼ばれるという東京ゲートブリッジでは車両の立ち往生に起因する渋滞で100台ほどが動けなくなったようです。
【参考】日本気象協会:東京23区 4シーズンぶりに「大雪警報」発表 路面の凍結に注意(2022年1月6日)
【参考】NHK:関東南部の雪 峠越えるも7日朝にかけ氷点下に 路面凍結おそれ(2022年1月6日)
【参考】FNN:「元赤坂」で車が立ち往生… 積雪10cm 大雪で首都マヒ(2022年1月6日)
【参考】NHK:ゲートブリッジで車両立ち往生(2022年1月7日)
首相官邸より
首相官邸のウェブサイトでも雪に関する情報が提供されています。
帰宅難民
ここまでは降雪時に起きる事象として交通混乱を紹介しましたが、実際に渦中に嵌るとどうなるか、その結末は帰宅難民です。
電車の人身事故などでもタクシー待ちの行列ができますが、振替輸送の手段として他社路線やバスも運行されたりしますので、帰宅難民というほどではない事が多いです。
自然災害などの場合、どの路線も寸断、どの駅でも帰宅しようという人が溢れています。
駅前にはタクシー待ちの大行列が発生します。
タクシーは来ない
都心部であればあるほど、タクシーは来ません。
職場があるオフィス街からタクシーに乗った人は、住宅やマンションが多いエリアに移動する事が多いです。
30分走行して降車、そのあとのタクシーは元の場所に戻らなくても近くの駅や施設へ行けば帰宅難民がたくさん居るので客を拾う事ができます。
営業エリアのルールをどうこう言う場合でも無いので、絶え間なく客を拾えるタクシーは、都心部に戻る事なく朝を迎えるでしょう。
以前、1日2万人超が降車する駅で、積雪があるほどの雪の日にタクシー待ちの帰宅難民になった事があります。
平時であれば10~20台のタクシーが待機する場所ですが、この日はゼロ。何時間待ってもゼロという状態です。
あとでわかりましたが、駅前で客を拾っても2千円前後の距離の往復ですが、大きな工場(住友電気工業)で客を拾えば自宅まで数十分から数時間、5千円や1万円という単位の客を拾えるということで、そちらにタクシーは集まっていたようです。
普段から駅と工場の間を何台ものタクシー利用があることも少なからず関係していたようです。
筆者はこの頃は医療機関に勤務、夜の透析診療を終えての帰路で帰宅難民になってしまいました。透析はしっかり4時間施行しなければならないので、早めに閉店という訳にもいかないので、仕方なかったですが、大変な夜になりました。
ホテル
自宅や職場の近くのホテルは利用することがないので、どこにあるのかわからないという人も少なくないと思います。
決断の早い人は、降雪の様子を見て仕事中に予約を取ってしまう人も居ます。
気を利かせてツインルームをとって、帰れなくなった同僚を泊めてあげるという気の広い人も居ます。
帰宅難民が発生すると30分もすれば満室になります。
フロントで並んでいる間にネット予約で一杯になってしまうので、空いていそうな予約サイトから、さっさと予約してしまうのが良いと思います。
公共施設は期待薄
これは経験的なことなので実際はわかりませんが、帰宅難民が発生しても公共施設などで収容してくれる事は少ないです。
帰宅難民が発生する降雪、災害級ではない場合が多いので災害対策基本法で言う災害にはなりません。すなわち、避難所は開設されません。
帰宅難民が発生するのが17時以降、すでに役所の職員も帰宅しており、先述のとおり災害でもないので臨時参集することもなく、目の前に立派な文化ホールなどがあっても、カギは開かないまま、皆が恨めしそうに見ているという光景を幾度か見たことがあります。
帰宅難民シェルターマッチング
帰宅難民を収容できる施設があったとしても、帰宅難民とのマッチングをする方法がありません。
広くアナウンスすると殺到してしまい混乱しますし、黙っていれば誰にも知られません。
筆者がたまたま千葉の幕張に出張に行っていたとき、千葉で豪雨が発生しました。電車はすぐに遅延、そして運休となり、多数の帰宅難民が発生した事がありました。
出張中の身ですので千葉のホテルに宿泊中、部屋にはエキストラベッドがありました。
駅前に行ってみるとタクシー待ちの大行列、2時間経っても3時間経っても同じ光景、並んでいる人に聞くと数時間はこの状態だと言っていました。
見ず知らずの人を部屋に誘う勇気は無いですし、ホテルへの説明も大変なので、何もできませんでした。
この日は幕張で仕事をしたのですが、幕張で別れた千葉県内在住の友人は、帰宅できずに東京まで出てホテルを取ったそうです。関西から来て翌日には東京を通って帰る私が千葉に泊まり、千葉で仕事して千葉に帰る友人は東京泊、ちぐはぐな状態でした。
いずれ、このようなときに役立つマッチングアプリのような仕組みを作りたいと思っています。
おわりに
今回は降雪と帰宅難民について取り上げました。
雪の日は出掛けないという選択肢が最善、もし出掛けるならば足元に注意する、出先で泊まる事になることも覚悟のうえで準備していく必要があると考えられます。
とりあえずホテルをとるという選択肢も検討すべきだと思います。ビジネスホテルなら1万円でお釣りが来る程度、すぐに暖かい部屋に退避でき、入浴もスマホの充電もできます。
雪の日の外、野宿は難しいのでホテルはお勧めです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。